2026/09/10 08:34
スーパーの野菜コーナーで「菊芋」を見かけて、生姜みたいな見た目に一瞬ひるんだことがあります。名前に芋ってついてるのに、じゃがいもとも里芋とも違う顔をしてる。気になって調べたら、そもそも芋じゃなかった。
正確にはキク科ヒマワリ属の多年草で、学名はHelianthus tuberosus。北アメリカ北東部が原産だそうです。食べてるのは地下にできる塊茎の部分。ヒマワリの仲間が土の中でぷっくり膨らんだもの、と思うとちょっと不思議な気分になります。
普通の芋と決定的に違うところ
じゃがいもや里芋の主成分はデンプン。加熱するとほくほくするのは、あのデンプンが糊化するからです。ところが菊芋にはデンプンがほとんど入ってない。
代わりに何が入ってるかというと、イヌリンという成分。生の菊芋の中に、だいたい13〜20%くらい含まれてると言われています。目安で15%前後。100g食べたら15gくらいがイヌリン、という比率。多い。
このイヌリンは、ブドウ糖に果糖がたくさん連なった構造をしていて、分類上は水溶性食物繊維にあたります。日本食品標準成分表2020年版(八訂)を見ると、キクイモ(塊茎・生)はエネルギー約35kcal/100g、炭水化物約14.7g、食物繊維総量約1.9g。ここの食物繊維の数字は分析法によって変動するので、実際のイヌリン量とはズレがあるという注意書きも見かけます。
イヌリンが注目されている理由
イヌリンの何がおもしろいかというと、ヒトの消化酵素でほとんど分解されないところ。小腸では吸収されにくくて、そのまま大腸まで届く。そこで腸内細菌の発酵基質になって、酢酸やプロピオン酸、酪酸といった短鎖脂肪酸が生まれることが報告されています。
要は、自分では消化しないけど腸の中の菌たちがエサにする、という立ち位置。だから水溶性食物繊維として整理されているわけです。
他の栄養素もそこそこある
カリウムが100gあたり約610mg。根菜のなかでは多めの部類に入るそうです。水分は81.7gくらいで、生野菜としてはよくある比率。カロリーも35kcalと控えめでした。
あと、品種の話が個人的にはツボで。皮が黄褐色の白色種と、紫色を帯びたフランス菊芋と呼ばれる紫色種があって、紫のほうはアントシアニン系のポリフェノールも入ってるらしいです。今度直売所で見つけたら紫を買ってみたい。
旬は意外と冬
菊芋の旬は晩秋から冬。だいたい11月から3月あたり。寒冷地でも土の中で越冬できる強い作物だそうで、雪の下から掘り出す地域もあるとか。生姜みたいなゴツゴツした見た目のわりに、生でシャキシャキ食べられるのも面白いところです。すりおろしたり、薄切りにしてサラダに混ぜたり、素揚げにしたり。
調べてみて思ったのは、「芋」という名前に引っ張られると本質を見誤る野菜だな、ということ。デンプンの塊だと思って敬遠していた人ほど、成分表を眺めると印象が変わるかもしれません。わたしはこれを書きながら、明日スーパーで白いのと紫のを両方探してみようと決めました。
菊芋のイヌリンに関心が集まる流れの中で、菊芋を含む食品や飲料もいろいろ登場しています。日々の食卓に取り入れやすい形として、菊芋粉末をブレンドしたファイブポイントデトックスのような商品も選択肢のひとつです。
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