2026/10/29 09:15
ゴボウの皮、剥いてから水にさらして真っ白にしてませんか。実家の母がずっとそうしていて、自分も30年近く疑わずに同じことをしていた。きっかけは3年前、知人の農家さんに「それ、一番うまいとこ捨ててるよ」と言われたこと。調べ直したら、確かにそうだった。
皮に栄養が集まっている、という話
ゴボウ100gあたりの食物繊維は5.7g(文部科学省 日本食品標準成分表2020年版 八訂)。野菜の中でもかなり多い部類で、水溶性のイヌリンと不溶性のセルロース・リグニンの両方を持っているのが特徴です。
ポリフェノールの話がややこしい。ゴボウに含まれるのはクロロゲン酸が中心で、これはコーヒーに入っているのと同じ系統の化合物。ほかにアルクチゲニン、アルクチン、ルチン、ケルセチンなども報告されています。で、ここが肝心なんですが、これらポリフェノール類は皮と皮のすぐ下に多く集まっているとされている。切ったときに茶色くなる、あの「アク」の正体がまさにこれ。
つまり、ピーラーでしっかり皮をむいて、さらに水に長時間さらしてアクを抜く、という昔ながらのやり方は、栄養の観点だと、集中している部分をわざわざ削って流していることになる。
皮は「むかない」が基本線
じゃあどうするか。皮は基本むかない。土だけ落とす。
うちでやっているのは、こう。
流水に当てながら、丸めたアルミホイルか、使い古しの歯ブラシでこする。たわしでもいい。表面の土と、黒ずんでいる薄皮の浮いた部分だけ取れればOK。包丁の背でこそげ落とす方法もよく紹介されていて、これも悪くない。ただ力加減を間違えると皮を厚めに持っていってしまうので、個人的にはアルミホイルの方が失敗しない。
見た目は少し茶色いまま残るけど、気にしない。香りが段違いに強く、きんぴらにしたときの風味が別物になります。
アク抜きは、しなくていい日が多い
水にさらす工程、これも見直す余地がある。
クロロゲン酸は水溶性なので、長く水に浸けるほど溶け出していく。5分、10分と置いているうちに、取りたかった成分がどんどん水の中へ移動している、という話です。
そう。アク抜きは、料理の目的次第。
サラダや和え物で色を白く仕上げたいときは、切ってから1〜2分だけさっと水にくぐらせる程度で十分。きんぴら、煮物、炊き込みご飯のように、どうせ色が付く料理なら、切ってそのまま油や調味料に入れてしまって問題ない。実際、自分は味噌汁に入れるときは水にさらす工程をまるごと飛ばしています。切って即、鍋。香りが強く、色は多少濃くなるけど、味は確実にこっちの方がいい。
切った断面が茶色くなるのは、酵素による褐変反応で、食べて害になるものではない。見た目の問題だけ、と割り切るとだいぶ楽になります。
加熱すると数字は少し動く
食品成分表には「ごぼう 根 生」と「ごぼう 根 ゆで」が別々に載っていて、ゆでると一部の成分量は変わります。茹でこぼすとさらに水溶性成分は湯の中へ。だから、下ゆでする料理よりも、油でそのまま炒める・だしごと食べる煮物・炊き込みご飯のように水を捨てない調理のほうが、ゴボウの持ち味は残りやすい。
きんぴらが「ゴボウ料理の王様」みたいに言われている理由、たぶんこのへんにあるんじゃないかと思っています。油でコーティングするから成分が逃げにくいし、皮ごと使う前提の料理だから。
日常に落とすと、こうなる
整理すると、むずかしいことは何もない。
土をこすって落とす。皮はむかない。水にさらすのは色を気にする料理のときだけ、短く。茹でこぼすより、炒める・煮汁ごと食べる調理を選ぶ。これだけで、同じ1本のゴボウから受け取れるものがだいぶ変わります。
食物繊維やポリフェノールの話は、サプリで補うものというより、こういう毎日の下処理の積み重ねで差が出てくる領域だと思っていて。根菜を扱う回数が多い家ほど、見直す価値はある気がします。
自分も昔は、きれいに白くしたゴボウが「ちゃんとした下処理」だと思い込んでいた。いまは、少し茶色くて、少しアクっぽい方が、ゴボウらしい、と感じるようになりました。慣れると、こっちの方が普通になる。
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